2020年03月13日

オンラインレッスンでわかった理想のレッスン

オンラインレッスンでわかった理想のレッスン


 このところの新型コロナウイルス騒動で、子どもが集まる教室でのレッスンが出来なくなった。出来なくなったと言うと受動的だが、私はフリーの教室運営者。誰かの決断に従うのではなく、自分でレッスンをするのかどうか選ぶことが出来る。そこで他国が取っていた「人との接触を断ってウイルスの広がりを抑えた」という話を支持して私も出来るだけ子どもたちを危険に晒さずに英語のレッスンをすることを考えた。
 しかし世間では学校の休校が決まって実施するまでたったの3日。私もそのタイミングでの決断を迫られた。

 そこで昨年からなんとなく視野に入れていた「オンラインレッスン」が浮かんだ。大人向けには既に始めていたが、子どもたち相手はなかなかチャレンジ。私は対面にこだわってレッスンをしてきたので、これは私にとって大きなチャレンジだった。
 でも来週もレッスンは容赦無く続く。私自身もそのまま続けたい。そう考えている内に"Leap before you look, "(見る前に跳べ)と私は自然に教室の全生徒に向けてメッセージをしたためていた。そしてその週末の内に教室生のマイクやカメラテストをオンラインで行い、月曜日からレッスンを始めた。

 そうやって始まったオンラインレッスン。教室での楽しさを画面越しにどう再現できるか、又オンラインだからこそできる期間限定の楽しみもあるのではないか。「見る前に跳べ」は、いつも私のスタイル。まずはやってみよう。そこから一緒に答えを見つけていこう!子どもたちと一緒にレッスンを作るスタイルだ。
 画面にポツリポツリと現れた子どもたちの顔は緊張気味に笑っているので、「リラーックス」と声をかける。「急におやすみになっちゃったけど、どう?」なんていつものように始める。画面越しに子どもたち同士も再開を喜んで、ほんの前の週まで一緒に教室でレッスンをしていたのに、とても懐かしい気持ちになって "Hello!" "Hi!" などと懐かしそうに声を掛け合っている。不思議とこのメンバーが集まったら、英語モードが作動する。習慣は侮れない
 レッスンは楽しく続く。一番の驚きは、私が自由自在に子どもたちのマイクをミュート出来るということ。自分のペースで自分が進めたいようにレッスンを進めることが出来るのだ。全体がざわ付けば、自分のマイクだけを生かしてレッスンが出来る。「なんという素晴らしい環境!これだったらもう世界のどこにいても、私英語のレッスンが出来るわ。今度から全クラスオンラインにしてしまおうかしら」そんなことを思った瞬間、強烈な違和感が私を捉える。

 私が自分の英語教室を始めたのは12年前。その後小学校で教えたりもしたが、自分の教室があることはいつもお守りみたいに私の心の平安だった。それは私がそこに「自分の理想の教育現場」を作ることが出来たからだ。
 敏感過ぎる程人の心を感じ取ってしまう私の特性を最大限に生かさなきゃ。子どもたち一人一人の心に真っ正面から向き合い、その子にとって必要だと思う対応をする。みんなが一緒に笑い、安心して学ぶことが出来る場所を作る。生徒の一言でレッスンの内容がググッと変わることもある。みんながその時学びたいことを英語という言葉に載せて自由に繋いでいく場所にしよう。決して発言をミュートして私のしたい方向にだけ動かす教室なんかではない。

 そう思うとストンと心が落ち着いた。私がしたかったのは、クラス8人が自分が疑問に持ったことやみんなに知らせたいことを口にして、人にそれを受け止めてもらう経験が出来る教室。確かにミュート機能は便利だし、シーンと静まり返った教室が好きな先生もいるだろう。ただ私の場合はその正反対。みんなが安心して発言出来る環境を常に意識しているので、ミュートするなんてもったいないのだ。

 この非常事態、オンラインという対応で一緒に新たな扉を開いた。閉じてしまった扉を嘆くのではなく、開いた扉があると信じてその扉を探す面白さを一緒に体験することが出来て良かった。そして何よりも私の「子どもたちに安全に学んでほしい」という気持ちと、それに賛同してくださり、家庭の中にオンラインレッスンをお子さんが受講出来るようにと短期間で設定をしてくださったおうちの方々に、心からの感謝を送りたい。
 子どもたちはそんな温かいチームに支えられ、楽しく学んでまっすぐ伸びている。
私は、オンラインでも一人一人の言いたいことを救う術を試行錯誤で学び中。それもまた一興なのだ。与えられた環境の中でもどうにかみんなで楽しむ工夫をする姿を子どもたちに見せたい。こんな空前絶後のピンチの中では、誰も出来ることなんて限られている。でも不恰好でもいい、諦めずに試行錯誤するクリエイティヴな大人の姿は、きっと子どもたちの希望に繋がると信じている。


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