2018年02月27日

自分を引っ張り出す




 教室では春の発表会に向けて、各クラス準備中。2年以上英語を学んでいる6年生は、英語スピーチ制作中です。
実は私、この作業が大好きなんです。元々日本語でも英語でも文章を書くのが好きで、物を書く仕事もしていましたので、作文指導は得意中の得意。まずは日本語と英語の壁を取り払って、自分の言いたいことをただ、オリジナルのシートに書き込みます。

 そこからが面白い。
子どもたちが書くのは、大体「〜になりたい」「〜が好き」という事実のみ。
そこで、その理由を尋ねます。

「え?何となく」

『あのね、「何となく」っていう理由ってありそうで、実は無いのよ。必ず何か理由があるはずだから、ちょっと引っ張り出してみようか』
インタビュー方式で、子どもたちの心の中を探ります。

一つ一つの理由を探る、自分と向き合う旅の始まり。
そして、必ず出て来るんです。会話の中で子どもたちの内から出てくるイメージや簡単な言葉を、一緒にかき集めます。
イメージで出て来るものを一緒に感じながら、それを習った英語に落としていく。その作業がまた楽しい。

「その表現、ここで使えるんだ!」
「こんな言い方したら、まどろっこしくなくてストレートに伝わるね。」


 最初は「え?何となくですよ〜」と言っている子どもたちの顔が見る見る明るくなっていって、自分探しの旅を楽しむ様になります。
その過程がたまらなく楽しいのです。出来上がったスピーチは世界に一つだけ。
その子の心の中がキレイな言葉で整理され、表現された物になります。

 さて、スピーチが出来たら次はどんな風に話したら、人に伝わるだろう。
「伝える」を探す旅。
まだ終わらない旅。産みの苦しみがあるからこそ、産まれた物は美しい。

 後一ヶ月。

教室で一緒に学んできたことでどんなことが出来るかを、一緒に体験します。
その中で私自身も子どもたちに励まされ、勇気づけられ、また気持ち新たに新年度を頑張ることが出来るのです。

本気で自分と向き合う経験をすれば、表現する力がつけば、これから先自分の力でしっかり歩いていけるでしょう。
「なんとなく」と言いながら生きていくよりも、ずっと楽しくて学びの多い人生になると信じています。  

2018年02月24日

失敗を成功の素にするには




 小さい子どもから私よりも年上の皆さんまで、英語を御指導する中で気付くことがあります。それは「失敗したくない」という気持ちです。性格的なものもあるかもしれませんが、十分に克服出来る部分でもあります。実際、極度に失敗を恐れる方々が少しずつ失敗体験を乗り越えて大きく成長するのを常に間近で見ていますので、私は確信しています。
 しかし、その方法は様々。指導者の手腕だと思っています。毎回のレッスンが実践ですので、私は常にその部分だけに神経を集中させています。指導者として、いえ人として、人が自信を失ってしまう様な言葉や言い方で伝えることだけは、私の中では絶対に避けていることです。

 その結果、まず少しずつ私に心を開いて、失敗しても大丈夫だという経験をたくさんしてもらってから、"I can do it!"(出来る!)を体験。そうすれば、その先は自分でどんどん道を拓いていきます。それは子どもたちでも大人の方でも、我が子でも同じこと。

 私が絶対に避けていることとお伝えしたのは、「失敗したくない」方々の多くは、過去の他の人の言葉掛けでそうなってしまっている場合が多いからです。
生きていると、いろいろな感情や関係性から、人から言われたくない言葉をかけられることも多々あります。その言葉が心に突き刺さって長い間抜けないこともあります。
 私が心がけていることは、そのトゲを抜いていく作業。

 そして未知に向かう子どもたちには、「失敗をしなさい」と言います。失敗したら喜ばなくちゃ。先生が今まで身につけて来た力は、ほとんどが失敗体験の中からです。恥ずかしい思いもたくさんして、人から笑われることもあるでしょう。でも私達が見るのは「今」ではありません。常に「これを克服した自分の姿」を見ていきましょう。それは挑戦し続ける限り、必ずやってきます。失敗してそのまま終わらせてしまったら、それは失敗でしかありませんが、それを乗り越えた時に、それは失敗ではなくて輝く宝物になる訳です。

 私の教室の目標の一つは、Make mistakes. (失敗しよう)そして Respect others. (人を尊敬しよう)です。
人の失敗を「今の失敗」ではなく「成功への通過点」と見守ってくれる人が側にいることは、その人の人生に大きく影響すると思います。それが響き合う世の中になると、もっと自分らしく生きていけるでしょうね。

 この小さな教室から、それを少しずつ広めていく、それが私のライフワークです。  

2018年02月16日

Thank you, Maruちゃん!




 英語の先生、特に自分で教室を開いている私達は、気ままで孤独。自己流を貫くことが出来るのが長所で短所。大海原に羅針盤なしで漂いながら理想の地(教育)を求めているみたいなものだから、私にとって人と関わっていくこと、世の中を見つめていくことはとても大事なことなのです。
そんな私の教室の、初めてのスタッフがマルちゃんでした。

 2年前の夏、教室のイベントの為にインターネット上の国際交流掲示板に「英語教室のイベントのお手伝い募集」と書き込みました。小さな小さな教室の漠然とした書き込みに興味を示してくれる人はおらず、私はその投稿のこともすっかり忘れていました。

 そんなある日、突然メールが来ました。「英語教室を手伝いたい」という旨のメール。差出人はブラジルの方。すっかり投稿のことを忘れていた私は一瞬戸惑いましたが、「面接」という名目で待ち合わせをしました。
 丁寧に立ってお辞儀をしたマルちゃんはとても好印象。話し始めるとまるで古くからの友人の様な感覚がありました。とにかく話しやすい。よく笑う。しっかり話を聴いてくれる。正直な話し振りからマルちゃんの人柄がすぐに分かりました。
 是非この人と何か企画したい、そう思わせてくれる出会いでした。

 当時マルちゃんは日本人の奥さんと結婚して、近所に引っ越して来たばかりでした。そんなマルちゃんの夢は、英語の先生になること。英語の先生になるために勉強して資格を取り、日本語の勉強もビックリする程一生懸命していました。が、「英語ネイティヴ(母国語)ではない」ということで、なかなか英語の先生の仕事は見つかりません。私もいろいろ働きかけてみましたが、やはり『ネイティヴではない』というハードルの高さに改めて驚きました。私達と同じで、英語が第一言語ではないけど、努力して英語を話す人になったマルちゃん。その姿勢やコミュニケーション力から子どもたち、私達が学ぶことはとても多いと感じました。マルちゃんは時々教室に立ち寄っては、日本語勉強で分からないところの質問、今後子どもたちの為に出来そうなことの企画の話などをして一緒に盛り上がりました。

 よし、マルちゃん。資格も国籍もダメなら、『経験』があるよ。私のところで、経験積もう!次、どこかの面接で「英語を教えています」って言えたら、きっとプラスになるよ。
…そうして教室のイベントで英語講師としてのマルちゃん、デビュー。ブラジルの話やオーストラリアに留学に行っていた時の話、日本に初めて来た時の話など、子どもたちにクイズを交えながらしてくれました。プロジェクターで流す画像も作って来てくれて、子どもたちは興味津々。

 翌年開講した月に一度の「マルちゃんレッスン」にはたくさんの子どもたち、それに生徒のご家族が参加して、マルちゃんと英語だけの時間を楽しみました。マルちゃんと話していると、不思議ともっと話したくなるんです。たくさん聴いて、たくさん笑ってくれる。一生懸命さと誠実さ、それに明るさで子どもたちを英語で話す世界に引き込んでくれました。



 そんなある日、マルちゃんから「グッドニュースでバッドニュースがあるよ」とメッセージが届きました。
フルタイムの英語講師の仕事が決まった!でもそれは遠い場所だから、もう一緒にお仕事出来ない…
マルちゃんの夢が叶った。本当に実力と経験、それにその人柄で仕事が得られた。素晴しいことじゃないの!と、「おめでとう」のメッセージを送り返しました。

 教室の子どもたちもおうちの方々もとても残念がっていましたが、みんなで笑顔でマルちゃんを送り出します。最後の日、子どもたちからもらったたくさんの感謝の手紙を持って、マルちゃんは教室を去って行きました。
 その後にマルちゃんから届いたメールには、私への感謝の言葉と共に『あなたは偉大なメンター(師匠)だ』と書いてありました。日頃から私のことをメンターと呼んでくれたマルちゃん。くすぐったい気がしていたけれど、私も貴方からたくさん学びや発見をもらったけれど…こんな私をそんな風に思ってくれて、ありがとう。

 私の初めてのお弟子さん。
さ、元気に行ってらっしゃい。
貴方の周りにはこれからもずっと、たくさんの子どもたちの笑顔と笑い声が溢れていることでしょう。  

2018年02月03日

分からないが分からない?!




 教室での指導の中で、中学生が『分かりやすい』と言ってくれるのが、とても嬉しいです。

 分かりやすいレッスンの為に私が心がけていることは、簡潔であること、目的がハッキリしていること、です。
「これをするために、これがこうなっている。以上!」という感じ。
新しい情報はまたその内容に慣れてから付け足していきます。
 子どものキャパを越えないことも大切。相手の様子も見ずに、ただカリキュラムをこなすだけでは、伝えたことはほぼ伝わりません。また日によって子どもたちのコンディションも違います。

 私は英語学習者と向き合うために、自分が過去に英語学習で苦しんだことをたくさん思い出す様にしています。そして今も、新たなことにチャレンジして、学習者の気持ちを体験する様にしています。
 去年辺りから再び学び始めた韓国語は未だに難解ですが、学びの中で何が知りたいのか、どうすればもっと自分のモチベーションが上がるのか…を研究しながら取り組んでいます。(ですから、上達はゆっくりで良いのです)

 高校生の時、物理がものすごく苦手でした。その時に物理を担当してくださった先生が言われた一言が未だに忘れられません。
『お前たちが何が分からんのか、俺には分からん』
高校生ながらに、とても違和感があったのを今でも鮮明に覚えています。

 私は中学生に「学校の勉強は、決してテストの為だけのものじゃない」と伝えています。中学校で習う表現一つで、いろんな事が伝えられる。
例えば比較を習ったら、それぞれ自分の身の回りのことや興味のあることを比較を使って話してみます。"without"を覚えるために、I cannot live without...をそれぞれが語る時間を作ります。教室の生徒は慣れているので、サッとその言葉を使って話してくれます。
その積み重ねの中でテストで良い点が取れたらそれは大きな自信となり、次へのモチベーションとなり皆さんの頑張りを後押ししてくれるでしょう。
でも、皆さんがしていることは、飽くまでも『自分が幸せになるための作業』なんです。

 私は何でもすぐにうまくいくタイプではありません。面倒くさがりやで、好きなことはすぐするのに、嫌なことは後回しにしてしまいます。そんな自分にコンプレックスはあったし、何でも器用に出来る人を羨ましく思うこともありました。
 でも今は、そんな私だからこそ子どもたちの心の側にいられるのだと思います。

 仮に私がいつかちゃんとした大人になれたら…そうなっても絶対に言いたくない言葉は、「『分からない』が分からない」です。でもこれからもずっと私の中身はきっと永遠の小学生でしょう。