2020年09月17日

トイレでコミュニケーション

 昔、母が私たち子どもに伝えたい言葉などをどこからか拾ってきてトイレの壁に貼っていた気がする。その内に私も、家族に伝えたいことを新聞形式にしてトイレに貼ったりしていた。

 その習慣は私の新しい家族でもそのまま続き、私は我が子に読んで欲しい新聞記事などを切り抜いてトイレに貼るようにしていた。
「新聞読みなさい」と言われて「はーい」と読むような子はいない。
でもトイレに貼ってあるものはなんとなく目を通している。私が貼った記事に対して、その内食事中子どもたちから感想や意見が出て来たりして、しめしめと思いながら国際情勢や日本国内の問題、人権や環境、また安全のために気をつけるべきことなどアトランダムに貼り続けた。私自身が新聞に目を通すモチベーションも上がった。

 そんなことを続けていたら、子どもたちが今度は自分の好きな曲の歌詞や試験前に覚えておきたいことなどを紙に描きトイレに貼り始めた。そこで夫や私は子どもたちがどんな曲のどんな歌詞に心動かされているかを知ることが出来る。子どもたちはその曲への愛を表すためにカラフルなペンやテープで飾り、イラストを添えたりしながら素敵なポスターを描く。自分の好きなものや気になることを人にシェアするだけでなく、最大限自分の中から良い表現を出してそれを形にする。トイレに入るのが楽しみになるくらい、そこは美しい空間になった。
 
 テスト時期になると、それぞれが自分のテストに必要なものや覚えたいものなどを貼る。時に歴史、時にスペイン語…それぞれの子どもたちが年齢や選択別に互いに学んでいることや勉強法を自然な形でシェアし、私たちも今子どもたちが何を学んでいるかを知ることが出来て興味深い。

 ほんの小さなことだけれど、そこから広がる世界や「共に感じる」意味はどこまでも広くて深い。小さなトイレの小さな壁面から広がる世界を夫や子どもたちと共有しながら、一人の目からしか見えなかった世界を二人分、三人分、と広げていけるのは面白い。
 オススメします。大人は特別なことをする必要はありません。ただ、そこに「表現する場所」を作れば良いだけ。もしかすると、それが自分自身の中に秘めたものを出す機会にも繋がるかも知れないのだから。

 注意点は一つだけ。人の表現をジャッジしないこと。ただ受け止めること。「あの絵が変だった」「内容が浅い」などと言いたくなっても飲み込むこと。それが大人にとっては一番の難関かも知れないけれど。
もし言いたくなったら「それをしてしまうことイコール子どもたちの表現の前に大きな壁を作ること」と自分に言い聞かせてみよう。


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