2019年10月16日

なんでも教材

なんでも教材


 家で本当に些細なことで手を強打し、バキバキと音もしたので絶対に折れているだろうと思っていたけれどただの打撲で済んだ。それでも痛みはあるので先週今週と手に湿布をつけていると、驚く程子どもたちやお迎えのおうちの方々が心配の声をかけてくださる。皆さんの優しい気持ちに感謝しつつ、なんでも教材にする私はこの打撲すら教材にしてしまう。結構面白い反応だったので、ここに記しておこう。

 高学年クラスである程度英語でのコミュニケーションが可能なクラスは、レッスン最初のある生徒の「先生、どうしたんですか?」をきっかけに "OK. Please say that in English." (はい、それを英語で言ってみよう!)でレッスンスタート。子どもたちは頭をひねる。彼らもよく知っている表現で必ず言えることがあるはずだし、答えは一つじゃない。特にこういう表現はとっさに使うことが多いので、とっさに出す練習をしておきたかった。
 意外と英語で会話のできるクラスでも、詰まってしまったり難しい表現を探してしまったりして、言葉が出てこない。そんな時、サラッとある生徒が言う。
"Are you OK?"
クラスの子たちの顔がハッとする。
「そっか」
そうそう。まずは一言出してみて。先生の手だけじゃなくて、例えば苦しそうにしている外国の方を見かけたら、言葉がわからないから放っておくってことは出来ないでしょう。(実際海外の方が苦しんでいる時に日本人が声をかけられなかった、ということを双方から聞くことがあって心苦しい)

 そして、そのハードルを超えた時に、次の課題が出てくる。もっとちゃんと聞きたい。もっと違う言い方もしてみたい。そこで、ちょっと高度な"What happened to your hand?" みたいなバッチリの言い方を本気で学びたくなる。そういうシチュエーションに遭遇して「言えなかったから次は言いたい」という気持ちになってこそ、やっと湧いて出てくる学びたい欲。
留学や海外生活をした人が英語を話せる様になるのは、そういう経験が圧倒的に多いから。
 私はそれを週に一度の英語教室の中でしたいと思う。年間四十数レッスンではあるけれど、そこで掴む生徒の会話力は時々来るネイティヴとの会話体験の中で大きく評価されている。やっぱり「使う」ことが一番身につく方法なのだ。

 ちなみに、まだ英語を習いたての低学年クラスでは主にリスニングレッスン。私がこの打撲に至るまでの経緯を簡単に英語で話す。一度目でわからない子には再度話す。三度程話したところで、子どもたちの英語スイッチ発動。嬉しそうにブンブンうなづいて全員が理解した、と判断したところで日本語で思考のレッスン。
「じゃ、そんな先生にアドバイスをください」

「あばれないこと!」
「あわてないこと!」
「ふざけない(?!)こと」


と、ごもっともなアドバイスをいただいて、双方向の学び完了。

 手は未だ痛むけど、みんなと楽しく過ごせたから、善しとしよう。


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