2020年の英語の使い方 〜 こんにちは。Do you speak English? 〜

Nami sensei

2020年01月04日 16:17



 2020年。今年はオリンピックイヤーということで、私たちにはその言葉以上にいろいろなことが期待されている年。
英語教育もここを目指して変わってきたような気がする。そんな年明けに、私たちは今年どんな風にどのくらい英語を使えばよいのか、について書きたい。

 私は以前強烈に日本に馴染みたいと願っていたアメリカ人の同僚から「教室では構わないが、職員室では英語で話して欲しくない」と言われたことがある。その時は軽い衝撃を受けた。日本で暮らしていると、『欧米人っぽい人には英語で話すべき』みたいな共通認識があって、私自身も海外でも日本国内でも欧米人には英語で話すのが当たり前だ、という暗黙のルールが染み付いていたから。
しかし、彼がこう言った時に例に出したことがとても納得いったのでここにシェアしておきたい。
『もし君が英語を学びにアメリカに行ったとしよう。その時に、もし現地の人たちが君に毎日日本語だけで話しかけてきたら、どう思う?』
なるほど。そういうことか、と思ってそれから私は英語の指導をする時には、まず生徒には「日本で話す場合は最初に日本語で話しかけてみて、難しそうだったら英語を話すかどうか確認するように」と伝えるようになった。
 
 しかしだからと言って「じゃ、英語使うことないじゃん」と言われると、それもどうかと思う。日本語を学んできて日本で使ってみようと張り切って遊びに来ている人には是非躊躇せず日本語でのコミュニケーションを楽しんで欲しいと思うが、もしそこで行き詰まった時に英語が大活躍するのだ。
それは相手がアメリカ人やイギリス人以外の場合でも同じ。あれ?今の日本語はちょっと難しすぎたかな、と思った時に少し英語で補足することでよりコミュニケーションを密に取ることが出来る。
 英語を使って海外の人をもてなす、というとかなりハードルが高めに感じるけれど、ゆっくりとした日本語の会話の中でちょっと英語でお互い理解を助けながら、となるとなんだか自分にも出来そうな気がしてくる。実際日本語を話せる海外の人は少ないが、そういう努力をして日本に来ている人がいるということは知っておいた方が良いだろう。今回タイトルに掲げている「こんにちは」は、まず最初に日本語で話しかけても大丈夫、ということ。そしてそこで相手がどうも日本語が全く無理そうだ、と思ったところで次の質問。"Do you speak English?"

 以前海外で面白い経験がある。私が泊まったホテルでレンタカーの申し込みをしていたところ、レンタカー会社の韓国人男性は英語を話したので英語でやりとりをしていたら、そこにロシア人男性が来た。彼は英語を全く話さなかった。そこでその韓国人男性と私が一生懸命身振りやスマホを使ってなんとかロシア語でその男性にレンタカーのシステムを説明した。日本人が側から見たら私たちアジア顔の二人よりもその金髪で目の青い男性の方が英語を話していると思うだろう、でも現実はその逆。
 ヨーロッパの方々が、「日本人は私たちを見るとすぐに英語で話しかけてくるけど、私は母国語しか話せない」というのは、よく聞く話。例えばドイツ出身でドイツ語と日本語だけしか話せない人に、一生懸命英語を話す、ということをしてしまうこともある。
また、ある人が「日本語を少し話してみた後にずっと英語で話しかけられたら、自分の日本語はまだまだ十分ではないと判断された気がする」と悲し気に語っていたのも印象的だった。

 英語を学ぶ必要がある、というのは正しいのだけれど、英語がないと全く話せないのかというとそうでもないかも知れない。
まずは日本語で笑顔で話しかけてみて、お手上げだったら周りの人と協力すれば良い。「英語を使うこと」を目的にするのではなく、日本を楽しみに来た人たちと楽しくコミュニケーションを取ることを目的にしよう。手段はその時その時で違っていい。
まずはハードルを下げて、「こんにちは。」と笑顔の交流をしてみよう。

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