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2019年04月12日

受験で得たもの



 我が家で2番目の受験生、息子。
長女は先の見通しまで立てての希望で私立専願。入試も早い段階で終わったため、この度全くゼロからスタートの息子の受験は、ある意味懐かしくて新鮮だった。
 そもそも息子にはなりたい職業が明確にあり、そこに行くには高校入学は必須ではなかった。
中学3年生になる頃に息子が言ったのは

 『俺、高校行かんでもいいっちゃけど。』

 昭和の人間である私だが、だいぶグローバルな視野は身につけたつもりではいた。
でも高校に行かずにプロドラマー一本で行くという息子に思わず
『手が腱鞘炎になったりすることもあるかも知れんやん。もう少し学んでおこうか』
と、思わず妙なアドバイスをしてしまった様な気がする。

 人生経験、というか日本人経験は彼より多少長いので、多少の保険を贈りたい気持ちがあったのだと思う。
でもそれと同時に息子の本気に触れ、自分自身の「学歴さえあれば何とかなるだろう」という考え方も変える必要があるな、それだけでは何ともならない世界だってたくさんあるはずだ、と心を少し緩めた

 結局彼は「公立に行けたら、学費の差額でドラム練習のサポートをする」という私たちとの約束の下高校に進学することにして、それなりに公立高校を目指して頑張っていた。特に私立入試が終わってからの一ヶ月は何年分も受験生らしく振舞っていた様に思う。
塾には行っていないが、家にいるとすぐにドラムを叩いたりギターを触ったりしてしまうので、家以外の勉強場所を求めて土日と放課後はほぼ図書館に入り浸っていた。

 私たちはプレッシャーをかける代わりに、自分たちなりの形で息子を応援した。
私は息子の部屋の窓辺、丁度顔を上げたら見える位置に彼が選んだ花を植えた。
夫は休日に息子の好物をたくさん入れた弁当を作って、図書館に届けたりしていた。
それが私たちのサポート。

 息子には図書館で顔見知りが出来た。
彼曰く「大人なのに毎週末勉強をしに来ている」その人は、
どうやら警察官で昇進試験か資格試験を受ける様だった。
息子と時々短い会話を交わし、受験前には激励の言葉をくれた。

 図書館が休みの月曜、息子は少し遠くにあるスターバックスに友達と自転車で出かけていた。
アルバイトのお兄さんがカップに「絶対合格」と書いてくれた、と喜んで見せてくれた。
結果を教えてね、と言われたらしく、合格発表の後律儀にお兄さんに出会った同じ曜日の同じ時間に出かけて行った。
次はおしぼりに書かれた「合格おめでとう」を嬉しそうに見せてくれた。

 受験なんかしなくてもいい、と言った息子だった。
公立高校入試に向かってガムシャラだったのもドラム練習のサポートを得るためだったとは思うが、それでも一生懸命やっていた。自分の弱点と向き合い、結局弱点克服ではなく得意を伸ばす方を選んだ。いろいろ覚悟をして腹をくくり、自分自身と向き合うという大きなチャンスを彼は彼なりの方法で掴んだのだ。
そして、社会の中で頑張っている人たちと出会い、応援したり応援されたり。
自分もその中で思いやりや優しさを受け取り渡すことを体験した。

 正直、私は受験はどうでも良かった。
息子が自分のしたいことをしっかり出来ればそれが私の幸せ。
でもこうして彼が受験を通して経験したことは、今後夢を追う中でも必要だったことだと思う。
人の温もりや励ましは、当たり前では無い。
 自分が一生懸命だから、向けられるエール。


 さぁ、思い切り自分の好きなことを好きなだけ、やろう。

 

  

Posted by Nami sensei at 15:33Nami先生の育児コラム