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2017年05月17日

出過ぎた杭



 教室の中学生に見られることで、興味深いことがあります。それは、小学生の時に良い発音で英語を話していた子が、カタカナ英語になるということです。
教室の中では当たり前に言えていた言葉、例えば"I'm great!"が、中学生になってしばらく経ったある日に「アイムグレイト」と来るのです。
最初は驚きました。
あれ?どうしちゃったの?
ちょっぴり悲しくなりました。

 今まで教えて来た英語教師としては、ちょっぴり淋しい気持ちになってしまうし、「ちゃんとした発音で言おうよ〜」なんて言ってしまいそうになります。
でも、そこで立ち止まって考えます。そうだ、師匠の言葉を思い出して。子どもたちの中に入って子どもたちの目から世界を見るんです。
すると見えてきます、見えてきます。
「あいつ、なんか発音が妙に良くね?」と囁く周りの人達の顔。クスクス、ザワザワ。

 そこで教室での声のかけ方も考えました。
『あのさ、みんなの英語がカタカナ化してるの、自分でも分かってるよね。でもね、それってみんなが中学校で生きていく上での工夫なんだよね。いいと思う。それは今、みんなにとっては大事な事なんだと思う。全然OK。
 じゃあさ、そこで一つお願い。一週間に一度、ここに来る90分間は先生と一緒に話してた英語を話そう。』

 みんな、ブンブンと頷いて話を聴いてくれます。頭ごなしに「なんでそんな風になっちゃったの〜?ちゃんとしよう〜!」じゃ、あまりに酷です。所詮私は中学校のクラスの中にはいない。その中でどんな風に立ち回るべきかを考える必要がないのだから、実際そこにいる子どもたちが自分で選んだ方法は尊重したい。でもそれと同時に、いつか必要な時にすんなり正しい英語が出て来る様に…その準備もしておこうね…というメッセージも送るのです。

 ある人が「出る杭になるんやったら、とことん出る。その方が、誰からも打たれないんよ。私は出過ぎた杭を目指す。」と言いました。なんて素敵なんだ、と思いました。でもその人はそこに行き着くのに、たくさんたくさん傷付きました。泣きました。
 今の内に自分を守って、いろんな方法を自分で選んで…いつか「打たれない程強い杭」になることを、先生は祈ってます。でもそのペースも、強さも、大きさも、それぞれで良いんだよね。誰に決められるものでも無いと思います。
先生は、ただ祈っています。